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それから数日。 あの武器屋での口論はキュルケがデラックスな剣を買って、ディアボロにプレゼントした事で一応の決着をみせた そして、帰ってからデルフリンガーと話をしてみたディアボロだが。 問題のデルフリンガーは長年の間に色々な事を忘れているらしく、特に重要な事は聞けなかった。 (役に立たんな……本当にボーイⅡマンのDISCを持ってくるべきだった) 等とディアボロが思ったかどうかは定かではない そのまま、特に何事も無く、時間の流れに身を任せていた、が。 「暇だ……」 最初は見るもの聞くもの新しかったディアボロだが 数日も経つと、特に何も変わらない日常に飽きてきて、あのホテルから続くダンジョンを懐かしく思っていた。 まあ、帰る方法は存在しているが、これから先の何が起こるか分からない事に期待しているディアボロは中々『帰還』の選択肢を選べない。 そんなわけで最近の彼は「暇だ」が口癖となっていた。 「…何か言った?」 耳聡く聞いたルイズがディアボロに尋ねたりしていたが 「で、ディアボロはどっちの剣を使うのかしら?」 翌日、日常の一部と化した程に、ルイズとキュルケが揉めていた。 その内容はルイズとキュルケの買った剣のどっちをディアボロ使うかというものだ。 武器としての剣は如何でも良いディアボロだが、二人の意地の張り合いは止まらなく、乱闘にまで発展しそうであった。 なんだかんだで決着が付かないルイズとキュルケ。 あまりにも暇なのでディアボロは、つい助け船を出してしまった。 「決闘でもしたらどうだ?」 「「それよ!」」 決闘の手段を話し合う二人を面白げにみつめるディアボロ 決闘内容が「ディアボロを吊るしてそのロープを魔法で切った方が勝ち」、と。 最終的に決まった時も面白げな顔を崩そうとしなかった。 そして、夜になりルイズとキュルケとタバサとディアボロの四人が中庭に集まり決闘を始めようとする。 ディアボロが落下した時にレビテーションを使うため、上空をタバサが乗ったシルフィードが飛んでいた。 この勝負は爆発を起こすしか能の無いルイズには圧倒的不利な状況、だが。 ロープで吊るされる前に、ディアボロは何事かをルイズに耳打ちした 「……………」 「え!?あんた正気!?」 「可笑しくは無い、要は考え方一つだ……どんな下っ端のカス能力でさえも、 考え方を変えて使う事が出来れば、王者を殺す武器にもなる」 「下っ端のカス能力言うな!」 「爆発を起こす事しか出来ないなら、それを最大限に有効活用しろ……分かったな?」 「ちょ、ちょっとディアボロ!」 それ以上何も言わずに無言でロープに吊るされるディアボロ 遥か上空に吊るされた男と、その下で杖を構えるアホ二名。 キュルケは開始前から自分の勝ちを確信していた。 自分の得意な『ファイヤーボール』は百発百中を誇る。 先手をルイズに選ばせて、2回もロープを切るチャンスを与えたのもその自信からであった。 (どうせ、ルイズが出来ることは爆発の衝撃でロープを切るぐらいでしょうね) ルイズが杖を構え魔法を使って―――― ドッグォ――z__ン ディアボロの後ろの壁が見事に爆発!ヒビが入った。 「ちゃんと狙え」 「う、う、煩いわね!心の準備ってものがあるでしょうよ!」 「危ないじゃないルイズ『ゼロ』なんだからもっと良く狙わないと」 「うるさい!」 そして、又ルイズが杖を振ろうとするのを見て、キュルケの顔に勝利の確信が浮かぶ。 だが―――――― ドッグォーz_ン 2度目の爆発は吊られているディアボロに直撃した! 「何してんのルイズ!?」 驚いたキュルケの声に反応する事無く、ルイズは上に向かって叫ぶ。 「タバサ!レビテーションお願い!」 上でシルフィードと共に待機していたタバサは、煙と共に落ちてくる物体にレビテーションをかけて、地面への激突を防ぐ。 「ルイズの勝ち」 タバサの宣告通り、その落ちて来た物体はディアボロ―――つまり、先にロープを切ったのはルイズだ。 ルイズは勝ち誇ろうとする前に、地面にゆっくりと降りてきたディアボロに走って行く。 「大丈夫なのディアボロ!」 「私の言う通りにすれば勝てただろう?」 爆発の直撃をくらった割には軽傷だが、決して無傷ではないディアボロ。 ――――――ディアボロがルイズに耳打ちした言葉とは「私ごと爆発させてロープを切れ」と言う無茶苦茶なものだった。 心配無いとの発言も聞いたが、まだルイズの心臓はバクバクと揺れ動いている。 敗者のキュルケはというと、地面に座り込んでハンカチをギリギリと噛み締めている。惨めだ そして―――いきなり地面が揺れた。 「「な、なに!?」」 「…………」 「ふん?」 そして四人は見た。 「ゴ、ゴーレム!?なんて大きさなの!」 30メイル程もあり、ギーシュのワルキューレを軽く超越した大きさだ。 慌てたルイズとキュルケがゴーレムの移動線上から逃れる。異常な逃げ足の速さである。 だが、一人だけ動かない者が居た。 「……これは『土』のトライアングルかスクウェアメイジなのか?」 取り敢えず何かするようなので、ゴーレムが何をするのかその場で見守る事にしたディアボロ。 平穏な生活を何日も続けていたせいか、かなり危機感が欠如している。 その場を動かないディアボロにルイズが叫ぶ。 「ディアボロ逃げて!」 しかし、ゴーレムに興味津々なディアボロには届いていない。 (爆発で足を怪我したの!?) そんな事は無い、が。ルイズは誤解している 我慢できなくなったのか、自分の危険を省みずルイズは走った。 「早く逃げなさいって言ってるでしょバカ!」 「私に構うな」 煩げにディアボロが手を振るがルイズは離れない。 そんな事をやっている間にゴーレムが近付き、二人の頭上に巨大な足を上げる。 「チッ……しょうがない」 自分一人だけなら何とかなるが――――傍にルイズが居る。 逃げるディアボロとルイズの後ろ、一瞬の差で踏み下されたゴーレムの足が破滅的な音を立てる。 そのまま逃げ続けるルイズとディアボロの後ろで、ゴーレムがヒビの入った壁を破壊し中に誰かが進入した。 しばらくしてから、その誰かは肩に乗り、ゴーレムを指揮してまた何処かへ戻って行く。 「ハァハァハァハァ……あの大きさだと……乗っているのは………トライアングルクラス以上のメイジね」 「トライアングルクラス以上はあんな事が出来るのか………凄いな」 そんな事を話している時、ディアボロはルイズがわざわざ、する必要の無い危険を侵した事を思い出した。 「構うなと言ったはずだが?」 「私の使い魔なんだから構うのは当然でしょ!」 「ふん?」 当たり前のように言い放つルイズを面白そうに見るディアボロ。 「あ、後!ご主人様かルイズ様って呼びなさいって言ってるでしょ!?そうしないとご飯抜きなんだからねっ!」 繁々とディアボロから見詰められて、顔を真っ赤にしながらもルイズは誤魔化すように叫んだ <<前話 目次 次話>>
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【名前】ヴィネガー・ドッピオ 【性別】男 【容姿】少年 【年齢】十代、けっこう若い 【出展】ジョジョの奇妙な冒険、第五部 【能力】・『エピタフ』 数十秒後の未来を予測する ・『キングクリムゾンの左腕』 『キングクリムゾンの左腕』を使える 『ディアボロ』とのコンタクト 口電話で多重人格の『ディアボロ』とコンタクトをとれる 【尊敬する人物】 ディアボロ 【その他備考】 ドッピオは別人格のディアボロを電話指示を出す自分のボスだと信じている ディアボロは任意で人格を入れ替えられる 【ヒナギクに対して一言】 てめー!!『パッショーネ』をなめんじゃねーゾ!! 【名無したちに向けての言葉】 ほらほらかかってこい・・・いや、やっぱり喧嘩はちょっと・・・ 詳しくは【Wikipediaの『ジョジョの奇妙な冒険』参照】 ディアボロ 登場人物名鑑へ戻る
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ディアボロの溜息④ 学校にはこっそり侵入し、放課後になるまでずっと部室で待機しなければならない 幸いここには本が山ほどあるから退屈にはならないだろ。 部室棟だから人も少なくトイレに行くのも苦労はない 万が一見つかった場合はスポンサー提供者と言えばすむとハルヒが言っていたので、そうしよう。 まぁ、古泉計画では長門がどうにかするらしい スタンドがあれば‥‥そもそもスタンドはなぜ無くなった? いや、無くなってるわけではなく現れないのか? でも出し方は分かるしスタンドが引きこもりだとは考えにくい ずっと出してなかったから勘が鈍ったか?ちょっと練習してみるか 「キングクリムゾン!」 出ない。気合いが足りないのか? 「キングクリムゾン!」 やっぱり無くしたのか?くそっ、こうなったら一番気合いのはいるやつを! 「帝王はこのディアボロだぁーっ!」 ガチャ。 キョンが入ってきた。時が止まったみたいに静かになる 「いや‥‥俺忘れてた教科書とりにきただけだから、うん。じゃあ‥‥なんかスマンかった」 ノックぐらいしろーぉ!恥ずかしさのあまりパソコンを叩くと電気が走った ディアボロ感電死。 昼休みになり、やる事もなくなった。 もう来ないだろう今度はポーズでもとろうか? 上着を脱いだ仕草をしてみるが出てくる気配はない、 元々着てないしな今度はつま先立ちで座ったポーズをとり頭に両手をあててみる。 キツい体勢だな体が震えてしまう。すると朝比奈が現れた 「あ、あのぅ。お弁当作ってきたんですけどここに置いときますね。すみませんでした!」 リゾットの変質者がぁ!そりゃあ、あんなポーズとってたら泣きたくなるわ! 足に限界がたち、思わず滑らしてしまった。その拍子に頭を強く打ち付けた。 ディアボロ出血死 さてと弁当も食い終わったし、よく考えるんだ。 よぉーく俺がスタンド能力を得たのは矢に射たれたのが原因だ。 でも、ここには無い、代わりの物を代用しても意味がないだろう。 矢が原因ではなく死ぬ感触か?それは無いな、実際死ぬことをくり返したんだ。もしそうならパワーアップしてるぞ 「なるほど。では、やはり矢が原因ですね」 いつの間にか古泉が傍にいた。何で知ってる?まさか心を読んだのか!? 「いえ、口にだしていました。 今度から気をつけてくださいね。調子を見に来て良かったですよ。でわ」 一人言を聞かれるとは思いもしなかった。てか、口に出していたとは、前からは考えられないな にしてもさっきから恥ずかしい姿ばかり見られている気がするもう恥じも何もない 今までやろうと思ってもやらずじまいだった例の練習でもするか…やってやる! 「俺は‥‥お前等にあや‥‥!」 長門が無表情で現れ、いつもの席についた。 本当に来るな!とゆうかつっこめよ!無言は辛いんだよ!くそっ!くそっ! 俺が四つん這いの格好で頭を項垂れ、片手で地面を叩いてる間も 長門は確認するように本をめくっている。 惨めだ‥‥。 「これ」 声のした方を向くと、長門が本を持って俺に差し出していた。 ここにある他の本と比べて随分薄く小さい本だ。 題名は……悪魔のいる天国?色々と矛盾しているぞ 「読んで」 長門はそれだけ言うと、また元の位置に戻り読書を続けた。 読んだ事もない本だが何なんだ一体? すると朝比奈が入ってきて着替えるから出ていって欲しいとのこと。 頼むから涙声で震えて言わないでくれ、確かに恐怖を与えていた俺だが、こんな恐怖は望んでいない 大人しく部室から出ると古泉とキョンが半笑いでいる。 ハルヒに見られないだけマシなんだろうな、俺は無理矢理そう納得し深いため息を吐いた。 to be continued...
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ディアボロの憂鬱② ここは――どこだ? 狭くて白い清潔感あふれている部屋だ。俺は白いベットのうえで寝かされている。 辺りを見回すと地味な青年、笑ってる青年、無機質な少女の三人が立ったまま俺を見下ろしている 「おい、うずくまって大丈夫か?」 「俺の側に近づくなぁぁーーっぁ!」 声をあげベットから降りようとしたが、手を滑らせベットから落ちてしまった。 床から露出していた釘が頚動脈に刺さったらしく毒々しい血が床を染める。 ディアボロ失血死 「ちょっとちょっと!すごい寝相ね」 ん? 生き返ったみたいで傷も完治しているが どこかで聞いた覚えがある声だ。最近聞いたことがある気がする。 「起きなさい!」 目を開くとさきほど一瞬だけ見た少女が瞳を輝かせている 「誰だ!お前は?」 「私はSOS団団長凉宮ハルヒよ! さっき溺れてた貴方を助けたのはこの私なんだから感謝しなさいよ!」 助けた?俺を? 「じゃあ、ここに連れてきたのはお前が?」 「ふふん、そうよ」 いつもみたいに自動的に移動したんじゃないのか? どうゆうことだ? だが、また死んで生き返った。何かが違う?いつもと違う? 「そう、お粥を作ったのよ!食べなさい!」 俺のために? 「そうよ!貴方外国の人みたいだからイタリア風にリゾットっぽくしてみたわ」 リゾット‥‥。思えばアイツにも酷い事をした‥‥ いや、何を言ってるんだ俺は当然の行為だ。俺は悪くない、 こうなったのも全てジョルノのせいだ。くそっ!あの便器に吐き出されたタンカスが!! 「食べないの?」 ハルヒは不満そうな顔で俺を睨んだ。仕方ない食ってやるか、 今の俺には自分の正体を隠す能力もないのだから 甘んじて好意を受けるしかない、一口すくって口に運ぶ 「む‥‥うまい」 「当たり前でしょ!なんたってこの私とみくるちゃんが作ったんだから!」 見ると怯えた少女が立っていた。 メイドの格好をしてるところを見ると、ハルヒの使用人か? 久しぶりの食事のせいか、口内に味が広がるのを欲し、いつの間にか全て平らげてしまった 「その食欲じゃ大丈夫そうね。あなた家は?どこの国の人?家族は?」 まるで職務質問を受けているようだ。 しかし、どうすべきか? 俺は奴に復讐してまたボスの座を奪い返す気でいる。 そうなると俺を知ってる奴が居るとマズイ。 前みたいな事になる‥‥さっきまで謝りたいと考えてたのに…… 後悔しているのか俺は?酷い仕打ちをしたことに? 「どうしたの?」 こいつと会ってから、少しだけ何かが変わった。 それに謝りたい気持ちは嘘じゃない たまには……賭けてみるのもいいだろう 「イタリア人、名前はディアボロ。娘と親友を探している」 この日から俺の運命は変わっていった to be continued...
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ディアボロは冷たい床の上でぱちりと目を開いた。 夜が明けるにはまだ早く、窓の外には、二つの月が光り、室内を煌煌と照らしている。 それを尻目に見ながら、無断でルイズの部屋に持ち込んみ床置きしてある大量のピッツァを頬張るディアボロ。 壁に置いてあるデルフリンガーがそんなディアボロの様子に気付き、口を開いた。 「眠れねえのか?相棒」 デルフリンガーは何か勘違いしているようだが、ディアボロはこれ以上眠る必要が無い、。 それに応えるのは面倒なディアボロは無視してピッツァを食べるだけである。 「つれねえ仕打ちだな相棒!俺は寂しい思いはまっぴらごめんだぜ!」 ディアボロのスルーに腹を立てたのか、デルフリンガーがビリビリと震えながら怒鳴り声をあげる。 その声に反応して、ベッドの上のルイズが寝返りを打って毛布を跳ね除けた。だらしの無い貴族様である。 「……しっかしまあ、色気のねえ娘っ子だね」 反応の無いディアボロの相手をするのに飽きたデルフリンガーがネグリジェ姿のルイズを眺める。 ・・・・・・それにはディアボロも同意であった、自分の娘と比べるとルイズの体は明らかに発育不良が目立つ 12ぐらいだと思っていたが、本当の年齢が16だと知った時は大いに驚いた。 (まさか、トリッシュより年上だったとはな……しかし、暇だ……) あの大事件から、とにかく何もする事が無いディアボロは案の定暇になっていた。 まあ……ルイズから洗濯や掃除が命じられているが、ディアボロは軽くスルーしてるのでとにかく問題は無い 幸せそうに眠るルイズを横目で見ながら、何か面白い事でもないか、と適当に考える。 そこに、ディアボロに向き直ったデルフリンガーが声をかけた。 「そういやぁ。相棒ー、そのDISCってのは一体何なんだ?」 相変わらず、ディアボロは持っているDISCの事をルイズや他の奴等には説明してなかった。 手の内を曝け出したくないからであるが、まあ、ルイズ達でも理解できるように話すのが面倒だから、説明しないってのが最大の理由なのだが。 しかし、デルフリンガーはエニグマの紙に入れられた時にDISCの事を勝手に知ったらしい。 「……私にも良く分からんな」 「分からねぇ。って事はねぇだろ?」 「とにかく分からん」 奇妙なダンジョンに潜った時に見付けて、原理も知らないまま有効活用しているだけのディアボロには詳しい事は分からない。 ホテルのベッドを占領し続けている、ホモ二人の片割れが何か言っていたようなも気もするが、頭からは綺麗に忘れ去られている。 そんなこんなで、デルフリンガーとディアボロがダベっていると空が白み始めた。 「もう朝か……今日も1日あの娘っ子のきゃんきゃん声を聞かなきゃならんぜ相棒!」 「そう気にするほどでもない」 そんな事を口走りながら、ルイズのベッドに近付き、ベッドを殴り飛ばす。 ボゴォ! と凄まじい音を立てて、ルイズが飛び跳ねた。 そのままゴロゴロと床を転がり終えると、慌てた調子で立ちあがる。 「ひゃぁっ!?……もっと優しく起こしてって言ってるでしょ!」 そんなルイズの罵声を聞き流しながらも一緒に授業へ向かうディアボロ。 授業で魔法が披露されるのを見るのが楽しみなディアボロには行かない理由が無かった。 教室に入ってルイズの近くの席にドカッと座る。 ギーシュとの決闘やフーケ捕獲の功績から、その行為を咎める生徒は居なかった。 それから少し経った後、教室に長髪に黒いマントを纏った気味の悪い男が現れた。 その男――教師は、まず『疾風』のギトーと名乗り授業を始めた。 話口から性格を察すると、傲慢で自分の属性には絶対の自信を持っているようだ。 (つまらん授業だ) 等とディアボロが思っていると、何やらギトーの口車に乗ったキュルケが1メイル程の火の玉をぶっ放した。 ギトーは慌てる事無く、腰に差した杖を振って烈風を吹き出し火球を掻き消す。 ついでに烈風をくらったキュルケがこっちに吹っ飛んでくるが、避けるのが面倒なディアボロは何もする事無く突っ立っている。 ドガ! 衝突音と共に、キュルケとディアボロが5の固定ダメージを受けた。 「痛たた……受け止めてくれたって良いじゃないの」 「面倒だ」 体を摩りながらキュルケが抗議の声を上げる。が、ジト目はすぐに熱っぽい視線に変わった。 「酷いわディアボロ……それにアナタって結構セクシーな体してるわねぇ」 今の会話の何が気に入らないのかルイズがキュルケを睨み始めるが。 問題の原因であるギトーは無視するかのように授業を続ける。冷静な男である。 「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。 ……簡単だ。『風』は全てをなぎ払う。『火』も『土』も『水』も『風』の前では立つことすらできない 残念ながら試した事は無いが、『虚無』さえも吹き飛ばせるだろう。それが『風』だ」 「目に見えぬ『風』は、見えずとも諸君らを守る盾となり、必要とあらば敵を吹き飛ばす矛となるだろう。 そしてもう一つ、『風』が最強たる所以は………」 何と言うか、授業関係無しで俺は強い!って言いたいだけじゃないのか?と疑問に思うが。 そのギトーの言葉を聞きながらもディアボロは冷たい視線を向けるだけだ。 (ふん…自分の能力の短所も把握していないカスが偉そうにな……) その視線の先で、何やらギトーが杖を立てて詠唱を始めている。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 しかしその時、突然そこに変な格好をしたコルベールが入って来た。 (何だあの格好は?) 服を着ていると言うよりも、服に着られていると言う方がしっくりくる姿である。 ……ディアボロも人の事が言えないぐらい変な格好をしているが。 入って来た時と同じ、慌てた調子で授業の中止を告げるコルベール ギトーの授業に飽きたディアボロが話半分に説明を聞いていると。 要約すれば、偉い人が来るから出迎えの準備を生徒全員で行うという事のようだ。 そして、ここは魔法学院の正門。 王女を乗せた馬車が現れるのと同時に生徒全員が杖を掲げる。 オスマンが馬車を出迎えると同時に、凄いタイミングの良さで絨毯が敷かれて馬車の扉が開き、何やら面倒くさい事をやった後に王女が出て来た。 生徒達から歓声が沸きあがる。 それに、王女はにっこりと薔薇のような微笑を浮かべて優雅に手を振る。 「あれが王女か?」 「当然じゃない、アンリエッタ様はトリステインの花って言われてるのよ」 確かに綺麗な容姿をしているが、ディアボロにとってはそこら辺に居る女とあまり変わらない。 早々に王女への興味が失せ始めて視線をそこら中に向けるディアボロ その時、隣に居るルイズが、はっとした顔になった。それから顔を赤らめる。 (何だ?) 何が見えたのか気になったディアボロはルイズの視線の先を確かめてみると。 その先には見事な羽帽子を被った、凛々しい貴族の姿があった。鷲の頭と獅子の胴を持ったこれ又見事なモンスターに乗っている。 何やらキュルケもその男に視線を向けているが、格好良い男なのでキュルケのストライクゾーンにでも入ったのだろう。 (……敵になりそうな気がするな) 男の姿から危ない物を感じ、このままピストルズを発射して、射殺したい欲求に駆られるディアボロ。 (今は無理か・・・・・・) しかし、こんな人目のある場所で凶行に及ぶ事は出来ないので、歯噛みしつつも男の行方を目で追うだけに止める。 三者三様の視線が浴びせられている事に反応しないで男は去っていった。何気に命拾いもしている。 そして夜になった。 部屋に戻ったルイズとディアボロ、しかし、ルイズはベットに座ったまま動こうとしない。 いや―――立ちあがったと思ったら……再びベッドに腰掛け、枕を抱いてほんやりする。 何やら違和感を感じたが、彼にとってはルイズがおかしくなろうが如何でも良い。 (あの男に一目惚れでもしたのか?) 昼間見た貴族の姿を思い出して、当らずとも遠からずな予想をするディアボロ。 そのまま、ピッツァを食っているだけだったが。何かに気付いて顔を上げる (何やら部屋に近づいて来る奴が居るな………) 足音を忍ばせているのが怪しいが、エアロスミスの感知では敵意を特に感じない。 なんだなんだと思ってると、その近付いて来た奴が部屋の前に接近。ドアがノックされた。 規則正しく長く2回、短く3回叩かれ、その音を聞いたルイズが慌てた様子で立ちあがる。 ドアが開かれると、そこには、真っ黒な頭巾をすっぽりとかぶった少女が立っていた。 辺りを覗うように首を回すと、そそくさと部屋に入ってきて、後ろ手に扉を閉める。 「……あなたは?」 ルイズは驚いたような声をあげた。 それを遮るように、頭巾を被った少女は口元に指を立てると、マントの隙間から杖を取り出して軽く振った。 ルーンを呟く声と同時に、光りの粉が部屋を舞う。 「……ディティクトマジック?」 ルイズが尋ねて、頭巾の少女が頷く。 「どこに耳と目が光っているか分かりませんからね」 少女が頭巾を脱ぐと――――現れたのは昼間見た王女であった。 「姫殿下!」 ルイズが慌てて膝を付き。 「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」 アンリエッタの涼しげな声がそれに応えた。 そして (今のは一体何なんだ?) 先程の光の粉に対するディアボロの疑問に答える者は、この部屋には存在しなかった。 <<前話 目次 To Be continued...
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朝、先に目を覚ましたのは当然、ディアボロであった。 彼は不眠不休で24時間ダンジョンに潜り続ける事ができるのである。睡眠の必要性はあまり無い。 そして、ディアボロがまずした事は――――――――― (ハーミットパープルのDISC!周辺感知!) ざわざわざわと、ディアボロの手から、得体の知れない触手のような茨が伸びて行く。 そして伸び切ったと思った瞬間、その茨は消え、代わりにディアボロの頭には周辺の詳細な地図が浮かんできた。 「ふん……部屋の大きさから考えて、食堂はあっちか… ここは……ハーヴェストの感知では……大量のアイテムが入ってるようだな…武器庫か?」 とか何とか言っていたその時。 グウゥゥゥッ 『お腹が減ってきた……』 又しても、ディアボロの頭に何処からか声が聞こえて来た。 「チッ」 舌打ちをするディアボロ。 まだ少し余裕があるとは言えモタモタしていられる程では無いと感じる。 ディアボロはルイズを見た。幸せそうに眠っている。 昨晩、下着を洗濯しろと言われた事をディアボロは思い出したが ルイズが脱ぎ捨てた下着は今現在ナイルの川底である。 (まあ、どうしようもないな) 腹いせに自分がやった事を適当に考えながら、安眠中のルイズを放って、部屋から出るディアボロ。 ――と、隣のドアが開き、中からエロい女が現れた。 何処と無く痴女っぽく見える。 「あら?どちら様?」 「…………」 「あっ!?ルイズが召喚したって平民の変態なのかしら?へぇー・・・・・・本当に人間なのねぇ」 感心したようにディアボロを見る痴女だったが、根底にはどこか小バカにしたような態度があった。 ディアボロ自身も何処か女の事が気に入らなかった。微妙に身構えている。 彼の中で1,2を争うほど嫌いな敵に入っている、ブ男と死んでも脳みそだけで動く化物を何故か思い出すからだ。 「ねえあなた、名前は?それぐらいあるでしょう?」 「……ディアボロだ」 「私はキュルケ、そしてこの子が私の可愛い使い魔、フレイムよ」 痴女・・・・・・キュルケの背後からのそのそと現れたのは尻尾に火が点いた巨大な蜥蜴だった。 『消し炭にしてくれるわッ!』『レッドバインド!』『くらってくたばれ『怪焔王』の流法!』 それを見たディアボロは、大嫌いな敵の言葉を思い出し、反射的に攻撃しかけた。 (DISCがある・・・私には防御手段がある・・・・・・殺す必要は無い) トラウマと化した記憶を思い出しながらも、自分を何とか落ち着かせるディアボロ。 「火竜山脈のサラマンダー、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」 キュルケが何か言っている。 だが、攻撃しないように必死で自分を抑えているディアボロには届いていない。 (フーハーフーハー)「あ、ああ。そうだな」 生返事をするディアボロを笑いながら、繁々と見つめるキュルケ。 「それにしても……その髪を直してちゃんとした服を着れば、結構良い感じになるんじゃないのアナタ?」 誰かの笑い声でルイズは目を覚ました。 欠伸を噛み殺しながらベッドから抜け出て、顔を洗い服を着替える。 着替え終わってから、床に落ちている毛布を見た 「あれ?居ない?」 そこで、自分が平民の変態を召喚した事を思い出して憂鬱となる。 「はぁ………あの平民の変態どこ行ったのかしら?」 彼女の疑問に答えるようにドアの外から笑い声が聞こえる。 ディアボロが誰かと話しでもしてるんだろうか?ルイズは疑問のままドアを開けた。 そして見た。 彼女の目にはディアボロがキュルケと楽しそうに話し合っているように映った。 ルイズは自分の沸点が臨界を突破したのを感じた。 まるで瞬間湯沸し機である。 「キュルケ!私の使い魔と何してんの!?」 「あら?おはようルイズ」 キュルケがルイズの顔を見ながら微笑む。 割と小バカにした態度で。 ルイズはディアボロを見た。何故かルイズの目には心なしかホッとしたような顔に見える。 「あ、あんた、キュルケと何してんのよ?」 「お前には関係無い話しだ」 「だーかーらー!お前って言うな!ルイズ様かご主人様って呼びなさいよね!」 「プッ」 吹き出したのはキュルケだ。 「な、なによ?」 「いや、ねぇ。アンタ達って割とお似合いのコンビよねぇと思ってさ。 じゃあお先に失礼するわ、使い魔さんもがんばってね」 手を振りながら立ち去るキュルケをルイズは睨んでいた。 今にもハンカチを噛み締めそうなぐらいギリギリしている。 「プンプン!朝から不愉快だわ!ディアボロ!これからキュルケには絶対近づいちゃ駄目だからね!これはご主人様からの命令よ!」 「それより……そろそろ朝食の時間のようだが」 「え?ああ!?そうね!着いて来なさい!」 トリステイン魔法学院の食堂は敷地内で一番背の高い真ん中の本塔にあった。 そこへ歩く途中に、ルイズはディアボロに使い魔と言う名の奴隷だという自覚を持たせるため話をする。 「いい?あなたは私の使い魔なんだから、 私より早く目を覚まして、私が寝坊しないようちゃんと起こしなさいよ! それから、あんたがいるって忘れてたから、自分で着替えちゃったじゃない」 「……………」 「ねえ、聞いてるのディアボロ?」 「……………」 「ねぇったら!私の使い魔なんだから話ぐらい聞きなさいよ!」 「……………」 ご主人様を無視し続けるディアボロの態度に、ルイズは再度カチンと来た。 さて、問題のディアボロだが、彼はルイズと話をする余裕は一欠片も存在していなかった。 グウゥゥゥッ 腹の音と共に聞こえる何処からかの声。 『ハラペコで目が回ってきた……』 (マズイマズイマズイマズイ!早く食堂に行かなければ!) 持っているDISCを使えば何とかなる。が、ディアボロは勿体無い精神を徹底すると決めている。 それ故、彼は急いで食堂に向かう必要があった。 割と余裕無しで急いで歩いているディアボロを見ながら、主従関係をしっかり教え込む算段をルイズは立てる。 どっちが上で下か。それを教えるためには手っ取り早く朝食の待遇を――――― トリステイン魔法学院の食堂『アルヴィーズ』。 百人は楽に座れそうなほどアホのように長いテーブルが三つも並んでいる。 ルイズの説明によれば、2年生は真ん中のテーブルで食事をとるらしい。 朝っぱらからワインまである。未成年なのに、まあ、ファンタジー世界では朝からグビグビ飲んでいてもオカシクは無いだろうが。 「なかなかだな」 遠目からでも分かるほど上機嫌になったディアボロを見て、ルイズは胸の内で嘲笑する。 この平民の変態は貴族と同じ食事ができると思っている。そして腹を十二分に空かせているようだ。 (ふふふ、せいぜい盛り上がれば良いわ) 席に着いたルイズ。ディアボロはその隣に座ったが、ルイズの手が床を指し示した。 ルイズの指の先を辿ると皿が一枚。 やたら小さな肉の破片が浮いたスープと皿の端っこに硬そうなパンが二つあるだけ。 (うふふふふ、さあ悔しそうな顔をしてご主人様に刃向かった事を後悔しなさい!) ほくそ笑むルイズ、かなり根性が悪い。 しかし、そこで、予想外の声が聞こえた。 「さすがは貴族の料理……美味いな」 「ヘ?…………ナヌッ!?」 ディアボロの満足そうな声に振り向いたルイズは驚愕した。 (た、確か…私が視線を外したのは5秒程度だったはずなのに!?) ルイズの目の前にあった料理が全部平らげられていた。 残っているのは綺麗になった皿だけ。 「ななななな、何したのディアボロ!?」 摩訶不思議な事態に混乱し、ディアボロに詰め寄るルイズ。 彼女は知らなかった。 目の前の男は、壁ぐらいの大きさの巨大なピザを1秒で完食できる早食いができると言う事を。 ………まあ、知っていたからと言ってもルイズはどうしようもなかったが。 「目の前の料理を食べただけだが?私は外で待っているぞ」 軽やかにルイズの問いかけを避け、悠々と外に歩いて行くディアボロ。 序列と言う物を朝食で教えてやる目論見はあっさりご破算になった。 ルイズは今更のように鳴り出したお腹を抱えながら、ディアボロの背中を殺気が篭った目で見送った。 「危ない所だった…」 食堂から出たディアボロは自然に流れ出した冷や汗を拭って安堵の息を突く。 ついさっき、彼はある意味絶体絶命だった。 ルイズの隣に座る直前、3度目の腹の音が聞こえて来たからだ! グウゥゥゥッ 『駄目だ! もう倒れそうだ!』 『早く…何か食べないと…』 『飢え死にしてしまう!』 彼にとっては死刑宣告に等しい声が何処からか聞こえてきた。 最後まで聞いた後、ディアボロは次の行為の躊躇はしなかった。 瞬時に目の前の鶏肉を口に放りこみ、続く手でフルーツを掻っ攫って飲み込む。 そのまま無心で料理を食べ続けて、遂には完食したディアボロ。 その間5秒。異常な早食い力であった。 <<前話 目次 次話>>
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(敵意を感じないな) ディアボロは少女や遠くに居る数十人の人間と、モンスター達から敵意を感じ取れないのに気付いた。 それは何の根拠も無しに、『敵では無い』とディアボロが何となく感じるだけ、だが。 初めて会った者が自分の敵か味方か、はたまた中立のポジションであるかを一瞬で見分ける事が出来る自分の感覚を信じてみるディアボロ。 ・・・・・・レクイエムをくらう前は、裏切り者に気付かないお茶目さんだったが。 まあ、取り敢えず、少女を殴り殺すのを止め、ディアボロは盲目が治るのを待つ事にした。 30秒が経過して閃光による盲目が治ったルイズとその他大勢。 「今、何か凄い光が見えなかったか?」 「俺も見えた、何だったんだ今の?」 とか、何とか遠くから声が聞こえるが。 ディアボロの目の前ではルイズとコルベールが何やら言葉による激しい舌戦を交わしている。 「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しを「駄目だ」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いた事「君が最初の例となれば良い」 「………「早くしたまえ」 愚図ったままで行動を起こさないルイズを見ながら、コルベールは疲れたように自分の肩を叩いた。 「ふぅ……ミス・ヴァリエール。君も分かっているだろう? 二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。 それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進む」 それぐらいは分かっていると頷くルイズを見ながら、コルベールは語調を一気に強めた。 「分かっているなら早く契約したまえ!使い魔召喚は神聖な儀式なのだ! 一度呼び出した『使い魔』が平民だからと言ってやり直しを認めるわけにはいかない! 平民の子供じゃあるまいし、見っとも無い駄々を捏ねるのは止めたまえ!!!!」 激しい叫びにビクッと震えるルイズと、その周りの生徒達。 コルベールはいきなりの血圧上昇に髪が更に薄くなった。 そのルイズとコルベールの会話をしっかり聞いていたディアボロは状況をやや理解した。 (ここはどうやらメルヘンやファンタジーな世界らしい) (目の前の子供の手によって、自分はホテルからここに来た) (周りの全員が行っているようであり、スタンド能力では無いようだ) (本来はドラゴンのようなモンスターが現れるようだが、あの子供は失敗したらしい) (召喚された者は、召喚した者の使い魔となる。と言う事か?) ディアボロは使い魔が何をする職業であるか具体的には知らない。 が、意味的にどんな事をするのかはだいたい想像できた。 (私はこの子供の使い魔になるのか?) ディアボロは目の前の子供を凝視する。 彼の目に、ルイズは生意気そうな顔をした女の子と映った。 碌な事が起きないと言う予知のような考えも出てくる。 だが、そこで疑問が浮かぶディアボロ。 (使い魔とは契約するらしいが、どんな事をするんだ?) ルイズは自分が召喚した平民を見た。 身長は180サントはあろうか、下半身はズボンだが上半身は女物の下着のみを着ている。 髪の所々に斑点が浮いていて、どうみても変態です、ありがとうございました。 チラと後ろを振り向くと、こちらを睨んで来るコルベールの顔。 ルイズは泣きたくなった、が。覚悟を決める。 契約する前に、コルベールが真剣に全力で気合を入れて禿て欲しいとルイズは念じた。 (ううう、自分が召喚したんだからやらなくちゃ) 少々背が高い変態の顔を見ながら、ルイズは少しジャンプして―――― 一瞬、その変体の口と口を重ね合わせた。 トン、とルイズは着地した。それはほんの一瞬の出来事。 (うううう、ファーストキスなのにぃぃぃ) 何が悲しくてこんな変態とやらねばならぬのか、泣きたくなるルイズ。 その変態はどんな顔をしているんだろうか?ちょっと気になったルイズはディアボロの顔を伺う。 (何よ!拍子抜けしたような顔てるんじゃないわよ!こんな美少女とキス出来たんだからちょっとは照れるぐらいしなさいよね!?) (これが契約か……期待外れだ) 異常な強風が吹いて、空からデカイ十字架みたいな物体が落ちてくるようなド派手なイベントを期待したディアボロだが。 実際には少女とのキスだけ。かなり拍子抜けする。 だが、次の瞬間、ディアボロは左手に焼き鏝を押されたような感覚を感じた 焼死を何度も経験しているディアボロに耐えられない程の熱ではないが、痛みに慣れている彼にも予想外の突然だった。 「何!?」 慌てて左手見てみると、そこには何かの文字が刻まれていた。 何事かと思索するディアボロの近くにコルベールがやって来て手に刻まれたルーンを見る。 「ふむ、珍しいルーンだな……じゃあみんな教室に戻るぞ」 そう言って彼は宙に浮いた、フライの魔法だ。 周りの生徒も同じようにフライを使い、城のような建物に飛んでいった。 「スタンドは…見えない。あれが魔法か…さすがはメルヘンでファンタジーな世界だな」 その不可思議な光景にディアボロは感嘆の声を挙げる。 「ルイズは飛んで行かないのか?」 「あいつの二つ名を忘れたのかよ?『ゼロ』のルイズは『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 (フライ……空を飛ぶ魔法の名か?) そしてその魔法が使えないらしいルイズと二人きりでディアボロは残された。 「……あんた、何なのよ」 「何…と言われても困るが、まずはお前が何なのか説明しろ」 「あああ………もう!どこのド田舎から来たのか知らないけど、優しいご主人様が説明して上げるわよ! ここはかの有名なトリスティン魔法学院よ!」 ディアボロの聞いた事が無い名前だ 「ここはどこだ?」 「本当に物を知らないようね!トリスティンに決まってるじゃないの!」 どうやら、本当に本気で別世界らしい。 まあ、ディアボロが居たあのホテルも地球にあったのかどうか定かではないが 「あの禿は、この左手の文字を使い魔のルーンとか言ってたようだが?」 「そうよ!それこそあんたがこの私の使い魔になった証よ! つまり今日から私はあんたのご主人様よ、覚えておきなさい!」 少し嬉しそうな顔をしながら喋るルイズを不思議そうな目で見るディアボロ 「お前の名前は?」 「お前って言うな!私にはルイズ・ド・ラ・ヴァリエールって名前があるんだからね! 今から、ルイズ様かご主人様って呼びなさいよ!?」 こうして校舎まで戻った二人、ルイズはディアボロを残して教室へと入っていった。 その場に残されたディアボロは一人で考えていた。 (面白い……本当に面白い事になった) 皮肉では無く、本気でそう思っているディアボロ。 毎日毎日、ダンジョンに潜っては襲ってくる敵をしばき倒しまくる生活とは,変わった刺激がディアボロの精神に心地よく浸透している。 (問題は特に……いや、あったな) グウゥゥゥゥ ディアボロは腹が空いていた。今のディアボロは比喩や冗談で無く文字通りの意味で餓死する可能性がある。 (……問題を解決する道具はあるが) これから何が起こるか分からないので、節約する事を心がけているディアボロ なるべく動かないようにしながらそのまま授業が終わるまで待ち続けた。 そして授業を終えたルイズに連れられ、ディアボロは学生寮のルイズの自室に通される。 かなりの広さの部屋には、高級そうな置物が並んでいる。 そしてディアボロの頼みで、嫌そうな顔をしながらもルイズが持ってきたパンを食べながら、静かに夜空に登る二つの月を眺めていた。 「ねえ……えーっと、あんた名前なんだっけ?」 「ディアボロだ」 「ディアボロ。あんたの話って本当に本当なの?」 「嘘を突く必要が私には無いだろう」 「だ、だってさ、信じられないわよ。こことは別の世界って何?そんなの本当にあるの?」 「あの月が証拠だ」 「月が一個しかない世界なんて、聞いた事がない世界だわ。 ……嘘ついてる世界なんでしょう?何、変な意地張ってる世界なのよ変態」 「まあ、そう思ってるならそれで私は構わないが。な」 ディアボロの苦笑に憤慨するルイズ。 サモン・サーヴァントはこの世界の生き物を使い魔として呼び出すだけであり。 それ故にルイズは、ディアボロが別世界の住人とは信じていないようだ。 証拠の提出を求めたルイズだが、ディアボロは持ち物を見せない。 これでは信じろと言う方が無理である。 そこで、ディアボロが懐から何かを取り出すのを見る。 「何よ、食べ物を持ってるなら最初からそれ食べてなさいよ」 ディアボロが取り出したそれを頭に運ぶのを見て、ルイズは呆れたような顔で言った。 ディアボロは円盤状の食べ物(ルイズにはそう見える)を頭に運ぶ姿勢で固まったまま、ルイズを見た。 「これはDISCだ」 「へ?DISC?何処のド田舎の食べ物?」 それ以上言っても無駄だと判断したディアボロは一方的に話を打ち切る。 そのディアボロの姿勢にプンスカ怒るルイズ。 が、重要な事を聞くのを忘れていた事を思い出したディアボロは、手の中でDISCを弄くりながらルイズに幾つか尋ねた。 「ああ……お前の説明でこの世界の事はだいたい理解した。 一際熱心に説明してくれた貴族と平民の違いもな、それで聞きたい事がある」 「お前って言うな!ルイズ様かご主人様って呼びなさいよ!……で、何なのよ?」 「元の世界に帰る方法が、この世界に存在しているのか?」 「無いわ」 即答である。 ルイズ曰く、異なる世界をつなぐ魔法などない。 サモン・サーヴァントとは、この世界の生き物を使い魔として召喚するだけらしいのだ。 地球に帰る方法が無いと分かってもディアボロは落胆しなかった。 どうせ、死ねばあのホテルに戻れるだろうから、特に問題は無いと考えている。 そんな事より聞きたい事がもう二つあった。「それでだが、使い魔は何をする必要があるんだ?」 「使い魔の一番の役目は主人を守る事だけど……あんたには無理そうね しょうがないから、洗濯とか掃除とかやらせてあげるわ。さすがにあんたでも出来るでしょう?」 「ふん?」 YESの意味ともNOの意味とも取れないディアボロの一声。 だが、ルイズは勝手にYESと言ったと判断した。 「おやすみ、明日からキリキリ働きなさいよ」 「最後に一つ聞きたい」 最後に一つ、一番重要な事を聞こうとルイズに質問するディアボロ。 「………眠いから、話は明日にしてよ」 「私のベッドが何処にも無いようだが?」 「あそこに毛布があるわよ」 床に転がっている毛布を指差すルイズ。 その毛布はボロボロの穴だらけであり、かなり傷んでいる。 ディアボロの思考が一瞬停止した。 「……つまり、床で寝ろと言う事か?」 「その通りよ」 気軽にそう言ったルイズは、服のボタンを外し始めた。 毛布と床を眺めるのが忙しいディアボロはそれに気付いていないが。 着替え終わったルイズは、床に何かを投げ捨てた。 「それ、明日になったら洗濯しといて」 『それ』はレースのついたキャミソールに白いパンティであった。 ディアボロは呆れたような声や怒ったような声も出さない、ただ黙っている。 それを肯定として受け取ったルイズは満足気に微笑み、やわらかなベッドでグースカピースカ眠った。 予想を超えたルイズの傍若無人さには、理不尽に慣れたディアボロを困惑させていた。 このまま脱走して学園の外に出て行くか、寝ているルイズを殺害して憂さを晴らすか。 自殺してホテルに帰るか、『もう一つの手段』でホテルに帰るか悩んでいる。 だが、この世界を詳しく知らない事に思い当たるディアボロ。 「決めるのはその後で良いな……」 ルイズのパンティーとキャミソールの上に移動するディアボロ。 洗濯する気など最初から0である上に、持ち物が一杯の彼には拾う事がそもそも出来ない では、何をするのか?と言うと…… ディアボロは懐の紙から取り出した円盤状の物――――DISCを頭に突き刺した! どんな原理なのか、血も何も出ずに顔に吸い込まれるDISC. DISCがディアボロの顔に完全に吸い込まれた、そして、彼は床に落ちているルイズの下着を手に取ると…… ドシュ―――――z__________!!! そのまま思い切りぶん投げた! それは不可思議な光景だった…… ルイズのパンティとキャミソールが壁を透過して何処までも吹っ飛んでいく奇妙な光景。 そして、ディアボロの頭に何処からか声が聞こえて来た。 『ルイズの下着はナイルの川底に沈んだ。』 それに満足したディアボロは、毛布を使わずにその場で横になる。 彼はそこが冷たい洞窟の地面の上であっても普通に眠れるので、毛布の必要は無い。 ベッドが必要なのは気分の問題である。 そこで、ホモ二人にホテルのベッドが占領され続けていたのを思い出し、ちょっとブルーになるディアボロ。 瞬時に気を取り直すと、DISCを頭に挿したことにより聞こえてくる音楽に意識を落として ディアボロはそのまま眠りに付いた。 「フフフフ、Chaka kahn……中々良い音楽だ」 <<前話 目次 次話>>
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ディアボロの溜息② 「あなたには言ってませんでしたが、 凉宮さんに奇妙な存在をほのめかしてはいけません」 「なぜだ?」 「彼女は理想を現実に変える能力があるのは知ってますよね? しかし、彼女は理性があるのでそんな事が起こらないというのも気づいています。 だからこそ《ありえる》と思わせてはいけません! この世界は一般人が空を飛んでも不思議ではない世界となってしまうのです!」 「悪いのか?」 「皆さんが、あなたと同じスタンドを持つかもしれないんですよ? 皆が皆そんなのだと大変でしょ?」 まぁ、確かにな‥‥ 昨日襲いかかってきた奴等にもたせたら勘違いゆとりが増えるしな 「あいつはそこまでできるのか?」 「冬の日に桜を満開にし、目からビームをださせ、 あとは世界をやり直しましたね未遂に終わりましたが」 「あいつは、それを分かってやっているのか?」 「無意識です。それが唯一助かってる点でしょう。 意識したら………これはちょっとした恐怖ですよ」 古泉が思わせぶりに、脅かすように言ったが 俺は怯えるどころか注意する意味がまったかく分からなかった 「確か一緒に遊びたかったんだよな?」 「えぇ、そうです」 「可愛い願いじゃないか」 「いや、まぁ、そうだが」 キョンが歯切れの悪そうに話す。一番ハルヒの不思議現象の被害者のようだな 「でも、お前等が遊んでるんだろう?ハルヒが一番したい事は達成してるじゃないか」 「僕達の正体を教えてないので達成できていないです。 正体が言えない理由はさっき言ったとおりです」 苦労してるなお前等も 「つまり僕等は存在を隠しながら、 凉宮さんのストレスを溜めないようにしないといけないのです! ストレスが最高潮に溜まると新世界の誕生です!」 ハードル高いな‥‥まぁ、俺もハードル高いがな、 ほら安心したとたん後ろの本棚が倒れてきた。 ディアボロ胸骨が折れ心臓に突き刺さり死亡 to be continued...
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ディアボロの動揺① 朝ハルヒは遅れてきた。 二時限目の休み時間に来ると何も言わずに机につっぷし寝はじめた。 徹夜で考えてたのかコイツは?そういう活力を他に向けられんのかね? 昼休みまでハルヒはずっと寝っぱなしだった。しかし俺が飯を食べようとするとハルヒは起き上がり 俺の首ねっこを掴むと廊下に連れだし、ズンズン進む‥‥あの俺弁当食べたいんですが 「今から行くところで食べなさい!あたしもそこで食べるから!」 ハルヒはコンビニで買ったと思われる焼きそばパンを俺に突きつけた。準備万端かよ。 電車にゆられ日曜日に来た公園にたどりつく。 ハルヒはベンチに座り、俺はその隣に座った。 ラブコメっぽいが隣がこいつだと、スクールデイズ的な展開になりそうで怖い。 恋愛関係にはなりえないが文句言うとハルヒから斧で‥‥いや、あれは誠だ。俺なら大丈夫きっと言葉を‥‥ 「ねぇ、キョン」 「はい?何でしょうか?」 「‥‥?。なに敬語使ってんのよ。気持ち悪いわね。 まぁ、それより昨日ここでディアボロがオヤジ狩りにあってたのよ」 今時?そんな事しないで就職先見つけろよな 「本当なのか?オヤジ狩りって?」 「散歩してたら偶然見つけてね。尋常じゃない様子で襲いかかってたわ。一人はナイフを持ってたしね」 「な、ナイフ!?ちょ、それ大丈夫だったのか?」 「もちろん止めに入ったわよ!怪我する前で良かったわ」 「そうか」 俺は安堵のため息をついた。でも一回‥‥いや何回かは死んだかもしれない でもそしたら地面に血がついてるハズだしな、 辺りを見回すとやけに紅葉がちれている場所があった。紅葉の中には緑がまだ混じっていた。 そうか、やはり死んだのか量からして一回じゃないなハルヒは紅葉と思い込んで血には気付かなかったのか 紅葉か……、修学旅行の季節かどうりで学生が多いわけだ。 しばらく黙り込んで飯を食べていると、オカッパ頭をした男がうろうろしている。 変わった髪型だな、服もオタマジャクシ柄のスーツという奇抜なセンスだ すると男は俺達の存在に気付きこちらに向かってきた 「少し聞きたい事があるんだがいいか?」 見た目は二十前後なのに、随分貫禄のある声だ。 「イタリアで国語の教師をしているんだが、今日は修学旅行でここに来たんだ。 それで右も左もさっぱりで……うまいピッツァ店も知らない、もし良かったら教えてくれないか?」 てっきりプロの囲碁師かと思ったよ。 いや、さしたる意味はない変な毒電波を受信したようだ。忘れてくれ! にしてもピッツァ店か知らないな…… 「それなら、ここの公園を出た所にアブドゥル占いの館があるから、そこを右に曲がって……」 ハルヒは立ち上がり指で東口を指すと丁寧に道を教えた。意外に地理に詳しいな 「ディモールト・グラッツエ!」 「いいのよ。別に、それより髪の毛が毒キノコ色して網シャツを着ている変な男を知らない?」 ハルヒも変だとは思っていたのか、 まずディアボロさんを知っているか聞いてから娘さんを聞くみたいだ。 オカッパの男は考える仕草をすると、首を横にふった 「すまないが知らないな、そいつはイタリア人なのか?」 「えぇ、そうよ」 「うちの生徒で知っている奴が居るかもしれないな ……明日ここら辺を観光する時にでも聞いてくれて構わない」 「いいの?」 「教えてくれたお礼だ。アリーヴェデルチ」 男はそう言うと爽やかに去っていった。うーん紳士だ。 ハルヒはガッツポーズをとると楽しそうに笑った。 「昨日ニュースでイタリアの人達が修学旅行に来てるって言うから公園で見張ってよかったわ!明日も見張りよ!」 それで公園で弁当タイムか そのせいで午後の授業は完全にサボりになってしまった。やれやれ to be continued...
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次の日 今日は虚無の曜日で授業は一切無かった。 生徒達は思い思いに街に出かけるなり、学園でのんびり過ごすなりして、大切な休日を楽しんでいる。 ギーシュはあまりのショックに部屋の中で寝込みつづけている そして、ルイズは部屋で出かける準備をしていた。 何故ルイズが外に出かけるのかと言うと 「ディアボロ、あんたに剣買ってあげるわよ」 その一言が始まりだった。 ギーシュとの決闘を見ていたルイズ。 素手でゴーレムを倒したのには驚いたが、剣で一刀の元に切り裂いたのも驚いたのだ。 使い魔はご主人様を守るのが仕事。だから剣を買ってやろう……そうルイズは思った。 で、肝心のディアボロだが。 「いらん」 そう短く答えるのみ。 しかし、ルイズが「はいそうですか」などと言う筈も無い。 「ご主人様の言う事は聞きなさい!街に出かけるわよ!」 と言って、強引に連れ出した。 ディアボロ自身もこの世界の街に興味があったので、それ以上断る事も無かったが。 この学園の地形や地理はハミパDISCで確認してバッチリ頭に入っている。 今のディアボロに問題があるとするならば、激しい食い溜めをしたとは言え、往復で6時間の道のりに耐えられるかどうかだけだった。 ルイズとディアボロがトリステイン城下町に向かって行って数分後―――― それを見ていたキュルケはとある生徒の部屋に飛び込んだ。 その部屋の主人――タバサの読んでいた本を強引に取り上げ焦った顔で叫ぶ。 「タバサ!レッツゴーよ!タバサ!」 まずはちゃんとした言葉で喋れと思うタバサ。 「何?」 取り敢えず話しだけは聞いてやろうとする少女。良い子だ。。 辛抱強く、要領の得ないキュルケの説明を聞いてやったタバサ。 『ディアボロとルイズが街に出かけた。』 『ギーシュとの決闘を見物していたキュルケはディアボロの事が気になっている』 『何処に行って何するのか知りたい』 『だけど、今からではタバサの風竜じゃないと追い着けない』 要約すると、以上のような事をキュルケは喋った。 「虚無の曜日」 興味も無いし、折角の読書を邪魔されたので、拒否しようとするタバサ そのままキュルケが取り上げた本を取り返そうとするが。 「それは私も分かってるわ!でもね?今はそんなこと言ってられないの!恋なのよ!恋!」 身を翻してタバサの手を回避しながら喋り続けるキュルケ。 キュルケの二つ名を思い出して溜息を突くタバサ。 このまま不毛な事を続けるよりは、追い駆ける方が良いだろうと判断して。 渋々頷く。 「ありがとう! じゃ、レッツゴーよタバサ!」 タバサにとっては正直迷惑と言うレベルじゃねーぞ!。って感じだが キュルケは親友の自分にしかできない事で頼ってくれるなら悪い気もしない。 そして数秒、寮から広い背中にタバサとキュルケを乗せたドラゴンが飛び出して行った。 一方その頃、ルイズとディアボロの二人はトリステイン城下町に到着していた その中、ブルドンネ街通りを歩いている。 「狭いな」 ディアボロは5mしか幅の無い道を見て正直な感想を述べた。 「狭い?これでも大通りなんだけど…………なんでそんな風に歩くの?」 ディアボロは人にぶつかろうが、物にぶつかろうが、関係無く最短の距離を歩いている。 「歩く人の迷惑じゃない」 「……私の趣味。と言う事にしておけ…」 どんな言い訳なのだろうか、ルイズの頭に疑問符が浮かぶ。 実際は腹減りを抑えるための行動だったのだが。 (クソ……億安のDISCとプリンがあれば良かったが) 「何言ってんの?まあ、いいわ。迷子にならないようにちゃんと付いて来なさいよ?」 通りは活気に満ちていた。 鬱病持ちの人間には耐えられないと思われる程である。 モンスターハウスを思い出して嫌な気分になるディアボロ 彼は全体攻撃DISCを使おうか真剣に考え始めていた。 危険人物と化しているディアボロの前でルイズが振り向きもせずに喋り出す。 「ディアボロ?財布は大丈夫でしょうね?スリには気をつけてよ…魔法を使われたら危ないんだから」 「貴族の中にスリをする奴が居るのか?」 「しっつれいね!メイジの全てが貴族ってわけじゃないのよ!?」 マイノリティーを貴族全般と同列に扱われて怒ったルイズはディアボロに話し始めた。 「……………それで、色々な事情があって貴族から放逐されたメイジが傭兵や犯罪者になるのよ!分かった!?」 喧騒に負けない程のルイズの叫びに、分かった分かったと頷くディアボロ。 「安心しろ、絶対にスリは私から物を盗る事はできん」 自信たっぷりに胸を張るディアボロ。 (大層な自信ね……本当に分かったのかしら?) そして、ルイズに連れられて裏路地に入っていく。 ゴミや汚物が道端に転がっていてかなり汚い。 自分が初めてレクイエムによって死んだ場所を思い出して、ちょっと嫌な気分になるディアボロ。 四辻に出ると、ルイズはきょろきょろと辺りを見回した。 「えっと…秘薬屋の近くにあるはずなんだけど……」 「あれじゃないのか?」 ディアボロが一枚の看板を指差す。 ハミパDISCで周辺の地図が頭に入っている彼にはすぐ分かった。 ルイズとディアボロは扉を開き、店内へ入った。 薄暗い店だった。壁や棚にところ狭しと武具が並べられ、店内を歩き回るのには一苦労する。 奥から出てきた主人は値踏みするようにディアボロとルイズを見た。 「剣を買いに来たんだけど?」 ルイズの言葉と、付けている紐タイ留めの五芒星で貴族の客と理解した親父。 急に愛想が良くなって、両手を揉み始める。 「へへぇ。こりゃ失礼しました、はい。貴族様方が剣を使うとは思ってもいなかったもので」 「使うのは使い魔よ」 「ほぅ、なるほど!こりゃ忘れていました!最近は従者に剣を持たせるのが流行っていましたな!」 変態を見る目付きでディアボロを見る親父。 「こちらの変態の方ですか。お使いになられるのは」 口にまで出している 「そうよ。適当に持って来て頂戴」 しばらく店の奥に引っ込む親父。 幾らか経った後、立派な剣を持ってきた。 「店一番の業物でさぁ!」 確かに見事な剣である。宝石がちりばめられ、刀身の光といい、柄拵えといい、一見しただけではかなり立派な剣だった。 「おいくら?」 「へへぇ、これはかの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿の傑作でしですね。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断なんでさあ。」 「私は値段を聞いてるんだけど?」 「ははぁ、これは失礼いたしました!」 芝居じみた動きをしながら親父は値段を述べた 「本来なら値段が付かない程の物ですが……そうですな、エキュー金貨で二千。新金貨なら三千ってところでさ」 「ちょっと高すぎるんじゃないの?それ程の物がこの店にあるとは思えないんだけど」 ごちゃごちゃと二人が話している間。 ディアボロはその剣を手に取って呟いた。 マルトーに攻撃用DISCを預けたままなのでディアボロのアイテム欄には余裕がある。 「……これはエキュー金貨で千枚程なはずだが」 ディアボロはそれが店の中ならば、始めて見たアイテムでも値段を見分ける事が出来るのである。 値段をズバリ言い当てられた親父は焦った。 「お、お、お客さん。ウチの品物にケチをつけるのは止めてくださいや」 「出る所に出ても私は良いんだが?」 「う!……あっ!ちょっとその剣には先約が付いていたのを思い出しやした!別の剣に取り替えます!」 そのまま剣を引っつかむと店の奥に逃げるように走って行く親父。 その親父を憎憎しげに見つめるルイズだが、すぐ顔をディアボロに向けた。 「あんた剣の値段なんか分かるの?」 「ただの勘だ」 「そんなんでよくあんな風に言い切れたわね…」 「お前はあの剣を買う金があったのか?」 「そんな大金持ってるわけないでしょ!?」 「どっちにしても、あの店主を殺れば幾らでも手に入るから問題は無いがな」 「ちょっと!危ない事言わないでちょうだい!」 そんな事をダラダラと喋りながら、陳列してある武器を一つ一つ見ていくルイズとディアボロ。 まあ、ルイズは剣の切れ味など分からないので、ディアボロに付いて何となく眺めているだけだが。 「おい、そこの変態!」 突然男のダミ声が響いた。 ルイズとディアボロが振り返るが、誰もいない。 剣が乱暴に積み上げられているだけだ。 「俺だよ!俺!俺俺!」 声は一本の剣から聞こえた。 どういうファンタジーなのだろうか……剣が喋っている。 「あんたなの?」 「その通りよ!見た所剣探してるようだな? さっきの親父との遣り取り見ておでれーたぜ! あの業突く張りを黙らせるなんてすげぇな!そこでだ!俺を買いな!今すぐ!」 いや、何でそうなると。二人は同時に思った。 「この世界では剣が喋るのか?」 「インテリジェンスソードみたいね」 「ふん?」 等、ルイズと会話しながら、その剣を手に持ってみるディアボロ。 剣を適当に触っているとダミ声で剣がまた叫び始めた。 「このルーンは……スゲーぜこの変態!『使い手』だったのか!?」 「『使い手』?」 「買え買え買え買え!!!!俺を買え!」 二人と一振りの会話を聞きつけたのか、店の奥から店主がやってきて怒声を飛ばした。 「デル公! お客様に変な事言うんじゃねぇ!」 「うっはーうっせー!俺はこの変態に売込み中なんだから黙ってろ! さあ、いいからこのデルフリンガー様を買え!損はさせねーからよ!」 「これを買おう」 ディアボロのその声に剣――デルフリンガーが嬉しそうな悲鳴を上げる。 「ちょ、ちょっと。もっと別の剣にしなさいよディアボロ」 ルイズが止めに入った。 「いや、これで良い」 所々に錆びが浮いていてボロっちい剣だが。 ディアボロは喋る事と手のルーンを知っている事に興味が湧いたので買ってみる事にしたのだ。 デルフリンガーの切れ味の良さなどは如何でも良いのである。 「はぁ。しょうがないわねぇ……これいくら?」 「はっはぁ。本来はエキュー金貨100枚ですが、厄介払い込みでその半分で結構でさぁ!」 財布を取り出してカウンターに金貨を置いたルイズ だが、突然、思いもよらぬ方向から横槍が入ってきた。 「彼にそんなのを持たせるなんて……頭がおかしいんじゃないの?」 「ヘッ?」 と、視線をルイズが向けてみれば、入り口にルイズとタバサの姿が見えた。 何故居るのか?疑問に思う前に、取り敢えずルイズは不倶戴天の仇敵に脊髄で答える。 「ディアボロが選んだんだから関係無いわよ!」 「私ならもっと立派な剣を選んであげるのに……センス無いわねぇ」 「どういう事よ!私だってもっとセンスの良い剣ぐらい幾らでも買ってあげれるわよ!」 そのまま乱闘になりかねないぐらいの口論をするルイズとキュルケ 「私は先に戻るぞ」 デルフリンガーを回収してそのまま店の外に出るディアボロ。 「ウヘヘ。よろしく相棒!名前はなんてんだ?」 「ディアボロだ」 「『使い手』に使われるなんて嬉しいぜ!よろしく頼む変態!」 名前を聞くのは如何でも良かったらしい。 (ボーイⅡマンのDISCさえあれば余計な機能を削除できるのだがな) 一巡後の世界では役に立たないので放置してしまったDISCを思い出しながらディアボロは苦笑いした そのまま迫り来る腹減りに脅えながら一人と一振りは学園に帰って行く。 去ってから数十分後、武器屋の中はエライ事になっていた。 <<前話 目次 次話>>